「意味を耕す」ということ
若い頃は、「誰に、何を、どのように」伝えるかを常に考えていた。
目的があり、役割があり、成果があった。
それが、自分の存在を証明する方法だった。
けれど今、役割が薄れ、時間が広がったとき──
「自分はなぜ生きているのか?」「自分は一体何者なのか?」
問いが、静かに立ち上がってくる。
そしてついには、目的ではなく、存在そのものの意味を探す試みへと行き着く。
これから、写真に言葉を添えたり、言葉の芽吹きを待ちながら問いを続けていこうと考えている。
この問いは、誰かに答えてもらうものではなく、自分の中で、静かに耕していくもの。
“いまここにあること”に意味を滲ませるもの。
脇に置いてきた自分の中の感性、感覚をもう一度そっと蘇らせるもの。
「ゆかしがり」とは、古語で「見たい・聞きたい・知りたい」と願う心。
歳を重ねても、やることが見えてこなくても、好奇心を持ち続けたい、感じ続けたい。
─そんな思いから、この言葉を選んだ。
サルトルは「実存は本質に先立つ」と語った。
人間はまず存在し、そのあとに意味をつくる。
それは、生きながら意味を耕していく存在ということ。
今、意味が定まらない時間に意味を滲ませようとしている。
それは、消費する生ではなく、耕す生と言えるかもしれない。
外に置くことで、自分との距離が少し変わる。
成果ではなく、問いの途中の記録を残したいと思っている。
写真とエッセイ、そして言葉の芽吹きを待つ記録。
それらを通して、意味の定まらない時間に静かな輪郭を与えようとしている。
そして、その試みが、誰かの心に触れるかもしれない──
それは「届いてしまうかもしれない」偶然の力であり、静かなアンガージュマンでもある。
2026年09月10日(木)
旧暦 2026年 文月(ふづき・7月)29日
白露、草露白(くさのつゆしろし)のころ、
朝の空気がひんやりと澄み草の先に宿る露が白く光る。
月は夜空に姿を見せず、星々が澄んだ光を放ち、
南中する星々が宿の帯を静かに巡っている。
水瓶座=女(じょ)宿の空は、宇宙の深さをそっと伝えている。
■季の気配
文月の空気がいつしか満ち、秋桜の花にいやされ、
ルリビタキ達の気配に不意をつかれて心弾む。
■ 季の暦
二十四節気
白露 — 草の上に白い露が宿り、秋の深まりを告げる。
七十二候
草露白(くさのつゆしろし)
朝の空気がひんやりと澄み、 草の先に宿る露が、 白く光りながら季節の深まりを告げる。
■ 鳥の気配
青い羽が森の影を照らし、 ルリビタキが低い枝を軽やかに渡る。 深まる季節に静かな光を落とす。
■ 花の気配
風の縁でそっと揺れ、 秋桜が淡い色を軽やかに広げる。 秋の空気をやわらかく満たす。
■ 今日の記憶
「運動会」
青く澄み渡る秋空の下、山の上の小学校で開催された運動会。
砂埃を上げて走る子供たちと、村じゅうが歓声に包まれた日。
お弁当を広げたゴザの上が、何より誇らしかった。
■ 夜宙の気配
「さそり座が夜空にあり、へびつかい座がその後を追うように昇り、いて座へと巡りが続いていく。月は姿を見せず、星々の巡りが静かに夜を満たしている。」
■ 今夜の月(27日月)
宙に浮かぶお月様が、今夜も宇宙の営みを伝えています。
・月齢:27.9
・月の出入り:出 04:20 / 入 17:40
・次の新月(朔)まで:1.4 日
・次の満月(望)まで:17.4 日
■🌙 21時の夜宙
星座の巡り
天秤座(東から)
➔ 【乙女座(正中)】
➔ 獅子座(西へ)
東:天秤座
昼夜が均衡する季節の秤。東洋では角宿から亢宿へ連なる。秋分のころ、星々が整然と並ぶ領域。
正中:乙女座
純白のスピカを携える星座。東洋では翼宿から軫宿へ続く。夏から秋へ向かう広い天域が展開する。
西:獅子座
レグルスが心臓のように輝く星座。東洋では星宿から張宿へ連なる。春から初夏へ向けて星々が大きく弧を描く天域。
・今夜見頃の星座 (正中): 乙女座
・21時の月の滞在二十八宿:
鬼(き)宿
・21時に月が位置する星座:
乙女座
■ 西洋と東洋の宇宙観(占いが入る前の原初の姿)
後世の占い的な意味づけが加わる前、西洋と東洋の空の読み方には、
静かな原初の姿がありました。
西洋では星々の形に物語を重ね、
その象徴を通して季節の気配を受取り、
東洋では、星々の並び方を静かに観察し、
広がる光、連なる光を形の印象として、
天球の区画に刻み、季節の気配に重ねました。
同じ空を見ながら、
西洋は「物語」として、東洋は「形」として夜空を理解するという
純粋な宇宙の読み方がそこにありました。
■ 太陽の天球上の位置(季をさぐる)
古代の人々は、星座を手がかりとして太陽の位置を推し測り、季節の移り変わりを知る術を持っていました。
例えば、今夜21時、天球では水瓶座が南中しています。この南中星座は、天球が今、どの向きに回っているかを示す“夜の指標”となります。
天球は昼から夜へと回転するため、夜の南中星座を逆にたどることで、隠れた太陽が今どの星座の領域にいるかを推し測ることができます。
水瓶座を五つ逆にたどると、乙女座の領域になります。太陽の位置は季節の流れを示すので、乙女座が初秋のころを表すことになります。
東洋の天球では、太陽は女・虚・危の宿々を進み、同じくその季が来たことを物語ることになります。
・太陽星座(西洋):乙女座
・太陽の宿(東洋):女・虚・危宿
※ 宿(しゅく)は、月が通る白道を28に区切った東洋の天球の区画名です。
星座とは別の体系で、月の位置を知るための目印として使われました。
→ 宿の天文学の詳細はこちら
✨今夜は深宇宙見学の特等席:
今宵は夜空を遮る月明かりが一切ない深い闇の夜。
淡く儚い深宇宙の光の渦を、遮られることなく最も純粋に覗き込むことができる、
天体探訪に絶好の巡り合わせです。
■ 🔭 深宇宙の探訪
・今夜の主役天体:
M9
(へびつかい座球状星団)
中心バルジ近くの小ぶりな星団。背景に広がる濃い星の海とのコントラストが美しい。
✨ 近くの宙域に眠る、近隣の探訪候補
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M92
(ヘルクレス座の隠れた名球状星団)
M13の陰に隠れがちだがトップクラスに密集した一級品。中心の圧倒的な輝きを描写したい。
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M14
(へびつかい座球状星団)
やや縦長に変形した球状星団。じっくり露出をかけることで目の細かい素顔が写る。
✨ 宙の架け橋(星々の交差点):
今夜正中に眠る天体たちの背景には、古来より東洋の二十八宿と西洋の黄道十二宮が幾重にも交差する壮大な宇宙の結び目が隠されています。暗黒の夜空が広がる時、この架け橋の星々の光は、遮られることなく私たちのファインダーへとまっすぐに届き、時空を超えた古の記憶を雄弁に物語り始めます。