我が家の日めくりカレンダーに、
「思ったようにはならないが、やったようにはなる」という言葉がある。
陶芸の電動ろくろを回している時、この言葉の意味がよく分かった。
頭の中に理想の形を浮かべ「今日は素晴らしい器を作ろう」と意気込む。
まずはイメージすることが大切だ――そう自分に言い聞かせる。
しかし、粘土は思い通りには動いてくれない。
強引な力加減には応じてくれず、悪いクセも見逃さない。
こちらの迷いがあれば、そのまま形に現れる。
まるで「粘土にも都合がある」と言わんばかりだ。
素焼きや釉薬でも予想外のことが起きる。
良い仕上がりに出会うこともあれば、思い描いた色から外れてしまうこともある。
それでも続けていると、もうひとつ気づくことがある。
実際、やったようになっているのだ。
だから、技は磨き続けなければならない。
けれど、極めようとすればするほど世界は深く、
自分の未熟さに立ちすくむこともある。
それでも、そこで気落ちしてはいけないのだと思う。
キャリア形成の世界には、こうした感覚に寄り添う考え方がある。
「計画された偶発性」――思い通りにいかない道の途中で、
思いがけない良い出来事に出会うには、偶然をつかめる状態でいることが大切だという知恵だ。
技を磨き続けることは、その“偶然をつかむ準備”でもある。
ろくろの上の粘土を見ていると、人生も同じだと思えてくる。
思い通りにはならなくても、手を動かした分だけ何かが残る。
その積み重ねの中で、ふと良い偶然に出会うことがある。
結局のところ、
思ったようにはならない。けれど、やったようにはなる。
その言葉は、肩の力を抜いて前に進むための、ちょうどいい指針なのかもしれない。
2026年05月16日(土)
旧暦 2026年 弥生(やよい・3月)30日
立夏、竹笋生(たけのこしょうず)のころ、
雨を吸った土からたけのこが勢いよく伸び出す。
夕空に晦日月が淡く光り、やがて西の地平へと沈んでいく。
21時の空には月の姿はなく、星々が澄んだ光を放ち始める。
天秤座=氐(てい)宿の空には、静かな星の帯が巡っていく。
■季の気配
弥生の空気がいつしか満ち、白妙菊の花にいやされ、
サンショウクイ達の気配に不意をつかれて心弾む。
■ 季の暦
二十四節気
立夏 — 夏の始まり。大地に力強い緑が広がり始める。
七十二候
竹笋生(たけのこしょうず)
雨を吸った土から、 たけのこが勢いよく伸び出す。 初夏の力強い生命の象徴となる。
■ 鳥の気配
澄んだ声で夏の空を渡るサンショウクイが、 白と黒の姿で枝先を軽やかに移る。 季節の風を切り取るように鳴き交わす。
■ 花の気配
銀の影がそっと息づき、 白妙菊柔らかな葉を広げる。 季節の光を静かに受け止める。
■ 今日の記憶
「メダカ」
小川の澄んだ水底を、すいすいと泳ぐ小さな影。
父母が手ぬぐいをそっと広げて、すくってくれたメダカ。
掌の中でピチピチと跳ねる、愛おしい命の記憶。
■ 夜宙の気配
「夕空に晦日月が淡く光り、やがて西の地平へと沈んでいく。21時の空にはしし座が現れ、うしかい座がその後を追うように昇り、かんむり座へと巡りが続いていく。」
■ 今夜の月(28日月)
宙に浮かぶお月様が、今夜も宇宙の営みを伝えています。
・月齢:28.1
・月の出入り:出 03:50 / 入 18:20
・次の新月(朔)まで:1.4 日
・次の満月(望)まで:15.4 日
■🌙 21時の夜宙
星座の巡り
双子座(東から)
➔ 【牡牛座(正中)】
➔ 牡羊座(西へ)
東:双子座
寄り添う兄弟星カストルとポルックス。冬の大三角へ広がる天域で、東洋では参宿から井宿へと連なる。季節の移り変わりを示す星の流れ。
正中:牡牛座
ゼウスの化身たる白牛。アルデバランとヒアデス星団が広がる領域で、東洋では畢宿から觜宿へ続く。初夏に向けて星々が大きく展開する天域。
西:牡羊座
黄金の毛皮を持つ空飛ぶ羊。角の先からプレアデスへ続く天域で、東洋では胃宿から昴宿へと連なる。冬の終わりに星々が春の兆しを示す領域。
・今夜見頃の星座 (正中): 牡牛座
・21時の月の滞在二十八宿:
奎(けい)宿
・21時に月が位置する星座:
牡牛座
■ 西洋と東洋の宇宙観(占いが入る前の原初の姿)
後世の占い的な意味づけが加わる前、西洋と東洋の空の読み方には、
静かな原初の姿がありました。
西洋では星々の形に物語を重ね、
その象徴を通して季節の気配を受取り、
東洋では、星々の並び方を静かに観察し、
広がる光、連なる光を形の印象として、
天球の区画に刻み、季節の気配に重ねました。
同じ空を見ながら、
西洋は「物語」として、東洋は「形」として夜空を理解するという
純粋な宇宙の読み方がそこにありました。
■ 太陽の天球上の位置(季をさぐる)
古代の人々は、星座を手がかりとして太陽の位置を推し測り、季節の移り変わりを知る術を持っていました。
例えば、今夜21時、天球では天秤座が南中しています。この南中星座は、天球が今、どの向きに回っているかを示す“夜の指標”となります。
天球は昼から夜へと回転するため、夜の南中星座を逆にたどることで、隠れた太陽が今どの星座の領域にいるかを推し測ることができます。
天秤座を五つ逆にたどると、牡牛座の領域になります。太陽の位置は季節の流れを示すので、牡牛座が春の盛りを表すことになります。
東洋の天球では、太陽は氐の宿々を進み、同じくその季が来たことを物語ることになります。
・太陽星座(西洋):牡牛座
・太陽の宿(東洋):氐宿
※ 宿(しゅく)は、月が通る白道を28に区切った東洋の天球の区画名です。
星座とは別の体系で、月の位置を知るための目印として使われました。
→ 宿の天文学の詳細はこちら
✨今夜は深宇宙見学の特等席:
今宵は夜空を遮る月明かりが一切ない深い闇の夜。
淡く儚い深宇宙の光の渦を、遮られることなく最も純粋に覗き込むことができる、
天体探訪に絶好の巡り合わせです。
■ 🔭 深宇宙の探訪
・今夜の主役天体:
M81
(おおぐま座のボーデ銀河)
北天で最も美しい大渦巻銀河。周辺に漂う極めて淡い分子雲(IFN)まで写し出すのがトレンド。
✨ 近くの宙域に眠る、近隣の探訪候補
-
M82
(おおぐま座の葉巻銀河)
M81の真横にある。中心核から上下に激しく噴き出す「真っ赤な水素ガスジェット」が魅せ所。
-
M67
(かに座の最古の散開星団)
およそ40億年の歴史を持つ宇宙最古の散開星団。オレンジ色の老星たちが味わい深くきらめく。
✨ 宙の架け橋(星々の交差点):
今夜正中に眠る天体たちの背景には、古来より東洋の二十八宿と西洋の黄道十二宮が幾重にも交差する壮大な宇宙の結び目が隠されています。暗黒の夜空が広がる時、この架け橋の星々の光は、遮られることなく私たちのファインダーへとまっすぐに届き、時空を超えた古の記憶を雄弁に物語り始めます。