全身真っ黒なブラックマンタを見たとき、昔近くの森で初めてカブトムシを見つけたときのように心がはずんだ。「なんてかっこいいんだろう!」と、思わず声が漏れた。
その瞬間、自分の中に眠っていた何かが目を覚ました気がした。大人になるにつれて忘れていた「発見の喜び」や「憧れのときめき」が、黒い翼を広げて静かに舞い上がった。
水槽の青の中で、マンタは悠然と泳ぎながら、私の記憶の奥に潜んでいた感情を呼び起こしてくれた。それは、過去の自分との再会でもあり、未来への小さな予感でもあった。
記憶は、思い出すものではなく、目覚めるものなのかもしれない。
