星の記憶に触れた夜、連想の舟が静かに動き出す。

霧ヶ峰にて──昴が静かに光っていた夜
9月初旬、夜半に霧ヶ峰で夜空を見上げた。木々の間で静かに星が光っていた。 いくつもの星が寄り集まった姿が最初に目に止まった。昴だ。近くには牡牛座の角が見える。肩のところが昴だ。六つ星とも七つ星とも言うらしい。
連想が始まる。7人の女神のギリシャ神話。プレアデスともセブンシスターズとも言われ、今も様々なものに例えられ、語り継がれている。天空では乱暴者のオリオンに追いかけられたともいう。 今は、オリオンは見えないが、これから姿を表すのだろう。
昔の人は、種蒔きや航海を始めるにあたって、その位置を常に気にしていたから「種まき星」など、沢山の名前がついている。だからだろうか昴は東洋で「財の星」とも言われ、富の象徴でもある。
「さらば昴よ!」という歌詞もあった。作者「谷村新司」によれば、物質文明からの決別を歌っているそうだ。そう考えると、少しさみしい。なぜ、この歌を創ったのか?「谷村新司の不思議すぎる話」にプレアデス星団(昴)に啓示を受けたと書いてあったな。

そうそう、清少納言が枕草子で「星はすばる。」と手放しで褒めている。「星は、すばる。彦星。ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし。尾だになからましかば、まいて。」と続く。 ゆうづつは宵の明星のこと、確かにいつも輝いている。よばひ星(流れ星)は、尾が無いともっといいと言っているから、ひょっとしたら彗星の事かもしれない。ハレー彗星もちょうどその頃やってきて、改元する騒ぎにもなったらしいから。
小説「蒼穹の昴」やハワイのマウナケア山頂のすばる望遠鏡と連想は続き、学びが深くなる。
連想の舟に乗って漂うのは心地よい。
連想はまだまだ続く。
コメント