MENU

☆学びつづけること

学びつづけること

昔から気になってきた言葉がある。
江戸後期の儒学者・佐藤一斎が残した「三学戒」だ。

少(わか)くして学べば、壮(そう)にして為すことあり。
若い時に学んでおけば、壮年になってから役に立ち、何事かを成し遂げることができる。

壮(そう)にして学べば、老いて衰えず。
壮年の時に学んでおけば、老年になっても気力や知識が衰えない。

老(お)いて学べば、死して朽ちず。
老年になって学べば、見識がさらに深まり、社会に役立ち、その名は死後も残る。

この「老いて学べば、死して朽ちず」という言葉の意味を、私はずっと考えてきた。

佐藤一斎は岐阜県・岩村藩の出身で、西郷隆盛や吉田松陰にも影響を与えたとされる人物だ。
42歳から80歳までの約40年にわたる思索の結晶として、1133条にも及ぶ『言志四録』を残している。
「三学戒」はその一節である。

岩村城の城下町を歩くと、家々の軒先に『言志四録』の言葉が掲げられている。
町おこしと言えばそれまでだが、人の言葉がこうして時代を越えて残り、
誰かの目に触れ続けるというのは、まさに「死して朽ちず」なのかもしれないと思った。

岩村城跡を訪れた帰り道、下田歌子の銅像を見つけた。
当時は理由が分からなかったが、彼女が明治期に女性教育に尽力した人物だと最近知った。
そう考えると、彼女の志の根にも、一斎の思想がどこかでつながっているのかもしれない。

学び続ける姿勢は、直接的ではなくても、誰かの心に残り、何かを伝えていく。
文化が継承されるというのは、そうした静かな連鎖なのだろう。
自分の姿勢がどんな形でつながっていくのかは分からない。
それでも、老いても学び続けることが、誰かの背中をそっと押すことになるのかもしれない。

知らないことばかり。私もまた、いつまでも学び続けたいと思う。

今日のときそら

2026年05月16日(土)

旧暦 2026年 弥生(やよい・3月)30日

立夏、竹笋生(たけのこしょうず)のころ、
雨を吸った土からたけのこが勢いよく伸び出す。
夕空に二十八夜月が淡く光り、やがて西の地平へと沈んでいく。
21時の空には星々が澄んだ光を放ち、宿の帯を静かに巡っている。
天秤座=氐宿の空は、夜の気配をそっと伝えている。

今日のとき(季節)

ささやかな季のゆらぎを古の心にならう

旧暦 旧暦 2026年 弥生(3月)30日

ときの気配

弥生の空気がいつしか満ち、やまつつじの花にいやされ、
ヨシキリ達の気配に心弾む。

ときの暦

二十四節気

立夏 — 夏の始まり。大地に力強い緑が広がり始める。

七十二候

竹笋生(たけのこしょうず)

雨を吸った土から、 たけのこが勢いよく伸び出す。 初夏の力強い生命の象徴となる。

■ 鳥の気配

葦原に風が渡り、 ヨシキリが葦原を揺らしながら鳴き交わす。 受け継いだ技をお披露目するかのごとく。

■ 花の気配

山の影で静かに息づき、 やまつつじが赤い花を灯す。 山の季節を鮮やかに描く。

■ 今日の記憶

「桑の木」

屋根裏から聞こえてくる、蚕が桑の葉を食むサワサワという音。
天井まで届くほどに高く組まれた、美しき繭づくりの棚。
里山に広がっていた、桑の木と甘い桑の実の風景。

今日のそら(天文)

とこしえの宙のめぐりを伝承に学ぶ

夜宙よぞらの気配

「夕空に二十八夜月が淡く光り、やがて西の地平へと沈んでいく。21時の空には天秤座が現れ、蠍座がその後を追うように昇り、乙女座へと巡りが続いていく。」

・月齢:28.6

・月の出入り:出 03:50 / 入 18:20

・次の新月(朔)まで:1.4 日

・次の満月(望)まで:15.4 日

■🌙 21時の夜宙

・頭上の中空に、 天秤座が南中しています。

・東の空では、 蠍座が低い空に昇りはじめ、 へびつかい座が低い空を漂い、 へび座が地平の縁に沿って姿を見せています。

・西の空では、 乙女座が高い空へ沈みかけ、 からす座とコップ座が低い空に散らばりながら、 夜の流れを静かに彩っています。

星座の巡り
蠍座(東から) ➔ 【天秤座(正中)】 ➔ 乙女座(西へ)

東:蠍座
アンタレスが赤く輝く天の川の領域。東洋では氐宿・房宿・心宿が連なる。星の密度が高い広い天域。

正中:天秤座
昼夜が均衡する季節の秤。東洋では角宿から亢宿へ連なる。秋分のころ、星々が整然と並ぶ領域。

西:乙女座
純白のスピカを携える星座。東洋では翼宿から軫宿へ続く。夏から秋へ向かう広い天域が展開する。

・今夜見頃の星座 (正中): 天秤座
■ 西洋と東洋の宇宙観(占いが入る前の原初の姿)
  西洋と東洋には、 占いのための意味づけが加わる前、原初の空の読み方が ありました。

 西洋では星々の形にそっと物語を重ね、 その象徴を通して季節の気配を受取ってきました。
東洋では、星々の並び方を静かに観察し、 広がる光は広がるままに、連なる光は連なるままに、 その形の印象を区画として天球に刻み、 夜の巡りの気配を読み取ってきました。

 白道の宿は、黄道の星座の帯とところどころで重なり、 天秤座 の空域には 氐 の形が寄り添い、 同じ空を見ながら、西洋は「物語」として、東洋は「形」として夜空を理解していました。

 そこには、表現の違いはあっても、同じ区域を純粋な目で指し示す、静かな宇宙の読み方があったのです。
■ 太陽の天球上の位置(季をさぐる)
今日の太陽は、西洋では 牡牛座、 東洋では 昴・畢 宿の区画にあり、 この位置が季節の基準となります。
 古代の人々は、夜空に輝く星座を季節の看板として直接見上げ、それらを手がかりとして太陽の位置を推し測ることで、季節の移り変わりを知る見事な術を持っていました。

 例えば、今夜21時、天球では天秤座が南中しています。一般の人々は、この見えている星座そのものを夜の指標”とし、春の盛りを肌で知りました。

 一方で古代の学者たちは、天球が東から西へと回転する規則性をもとに、この夜の南中星座から太陽の居場所を逆算しました。

 天秤座から黄道の道を逆にたどることで、昼間の光に隠れた太陽が、今まさに牡牛座の領域を進んでいることを突き止めたのです。

このように、見えない太陽の位置を星空から割り出すことで、学者たちは暦を正しく管理し、より正確な季節の流れを人々に示しました。

 同じ頃、東洋の天球に目を向けると、太陽は昴・畢の宿々を進んでおり、 洋の東西を問わず、対をなす星々が等しく季節の到来を物語っていたのです。

※ 宿(しゅく)は、月が通る白道を28に区切った東洋の天球の区画名です。
星座とは別の体系で、月だけでなく太陽や惑星の位置を知るための目印として使われました。

→ 宿の天文学の詳細はこちら

✨今夜は深宇宙見学の特等席: 今宵は夜空を遮る月明かりが一切ない深い闇の夜。 淡く儚い深宇宙の光の渦を、遮られることなく最も純粋に覗き込むことができる、 天体探訪に絶好の巡り合わせです。

■ 🔭 深宇宙の探訪

・今夜の主役天体: M81 おおぐま座のボーデ銀河

北天で最も美しい大渦巻銀河。周辺に漂う極めて淡い分子雲(IFN)まで写し出すのがトレンド。

✨ 近くの宙域に眠る、近隣の探訪候補

  • M82 (おおぐま座の葉巻銀河)
    M81の真横にある。中心核から上下に激しく噴き出す「真っ赤な水素ガスジェット」が魅せ所。
  • M67 (かに座の最古の散開星団)
    およそ40億年の歴史を持つ宇宙最古の散開星団。オレンジ色の老星たちが味わい深くきらめく。
目次