スマート望遠鏡
年初にスマート望遠鏡を購入してから、ようやく使い方がわかってきた。 基礎がまったくないという事実を、あらためて思い知らされた。家のベランダから撮れるはずがない──そんな思い込みもあり、 外で使うのもどこか気恥ずかしく、 ためらっているうちに時間だけが過ぎていった。YouTube を見ながら、ベランダに三脚を立て、 見よう見まねで試してみた写真がこちら。 iPhone とつないで三時間。 姿を現したその像に、思わず息をのんだ。
妻に見せたところ、感心したようではあったが、 「結局、あなたは何をしたの?」と首をかしげた。
たしかに、画面に映るのは一枚の写真だけで、 そこに至るまでの逡巡や、 思い込みをほどいていく時間の重さは、 外からは見えない。けれど、あの三時間は、 ただ機械を動かしただけの時間ではなかった。 自分の中に積もっていた “できない理由” をひとつずつ外し、 少しずつ形を持ちはじめる見えないものを 静かに待つ時間だった。

